カーシェアリング(car sharing)という言葉、まだ聞きなれない方が多いかもしれません。カーシェアリングは、環境にやさしい車の利用方法だと聞きます。車を自分で「持つ・持たない」以外の選択肢としてカーシェアリングを利用するライフスタイルとは?そしてその使い勝手は?ウィンドカー株式会社は、カーシェアリングサービスを提供している札幌の会社です。今年1月に札幌都心に3つめの車両ステーションができたので、話を聞きました。
車が眠っている時間”のロスは、もう気にしない!
カーシェアリングって何だろう?
言葉のとおりカー(車)を複数の人で
シェアリング(共有)する。
だから、一人ひとりが車に乗るより
環境にはいいということは、わかります。
では、実際どんなふうに運用されているのでしょう?
ざざっと見てみましょう。
ウィンドカーの場合、
利用したい個人や法人が
会員登録をして
個々の利用者が自分で
希望の利用時間を予約します。
インターネットや携帯電話で、
会員が自分で空き状況を確認し、
予約できます。
使うときは、会員登録時にもらうICカードを持って
「車両ステーション」と呼ばれるところに停めてある
ウィンドカー専用の車を見つけます。
キーは、ドアの中にあるので、
ICカードでチェックインすれば使えます。
そして時間がきたら、同じ車両ステーションに戻して
カードでチェックアウトをします。
車両ステーション発着なので、
これがどういうロケーションにあるのかで
使い勝手が変わってきそうですが、
ウィンドカーの車両ステーションがある駐車場は、
2008年2月現在で、
札幌都心エリアでは3か所あります。
・タイムズステーション札幌駅前(北4条西6丁目)
・三井リパーク(北4条西4丁目)
・王子パーキング(北1条西1丁目)
いまのところ、大通公園よりも北側に
集中しているんですね。
では、このようなシステムのカーシェアリングを、
札幌都心で利用する場合、
どのような使い方が考えられるでしょう。
ウィンドカー株式会社の上野和宏さんの
お話を聞きながら、イメージしてみましょう!
「中央区ではビジネスユース中心になるだろうと
想定して、いま法人様を中心に
お話をさせていただいているところです。」
では、まちなかで企業が利用する場合、
どんなメリットがあるのでしょう。
「車を持っている企業さんは、
営業用に24時間に近い状態で稼動している車もあると思います。
でも、それほど使わないけど“あると便利”
なので持っている、
というところも多いと思います。
後者ですが、実際に稼動する時間は短いとしても、
実際問題、リース代は稼働時間にかかわりなく
払っているし、駐車場代だって
都心だから高いですよね。
そういう、使っていない時間の分のコストを
カーシェアリングによって下げることができるのではないかと、
ご提案させていただいているんです。」
使ったら使った分だけ費用がかかるけれども
固定的に出て行く費用が大幅に減らせるということですね。
「そうです。
車を持ちたくてもコストが高いから持てなかった、
という企業さんも、
自分で車を持ったり駐車場を借りなくても
都心で車を利用することが可能になるんです。」
企業のコスト削減やCSRとしての導入もありますね。
つきあい方を見直すと見えてくる
低いコストで車を自分で所有することなく、
利用した分だけお金を払えばよいシステムなんですね。
「はい。そして、自分で車を持たないことによって
車との付き合い方が変わるんですよ。」
そこって、「環境にいい」ことと
なんだかつながりがありそうなポイントですが。
「人って、モノを持っていると、
使いたくなります。
特に車ってそうですよね。
そして、できるだけ楽なほう、便利なほうを
選んでしまうんですよね。
私もつい最近マイカーを手放したんですが、
やはり、自分の車を自由に使う長年の習慣が
身についていますからね
最初はお恥ずかしい話、禁断症状が出てました。
でも、乗らなくてもいいのに乗ることが実は
多かったことに、気づきましたね。
自分で車を持たなくなると
本当に必要なときにしか車を使わなくなるので
環境にやさしいのです。
そして、代替の交通手段を
考える癖がつきます。
バス、地下鉄、電車、タクシーなど。
場合によってはレンタカーも使うことになるかも
しれませんね。
あと、身体を動かして歩くようにもなります。
そうそう、これは健康にもいいですよね!」
カーシェアリングが行政レベルで進められている
欧米の国々では、
実際、カーシェアリングの温室効果ガス削減の効果が
データとして出ているんだそうです。
ふむ・・・
欧米で行政ぐるみでシェアリングが取り入れられているって
環境への意識がすごく高いってことなんでしょうか。
「国土が狭くて、トータルにまちづくりを考えたときに
車が少ない社会でなければやっていけない、
という切実なところがあるんだと思います。」
国土が狭いといえば日本もですけど・・
限られた公共空間をどう使うか、
環境問題にどう取り組むか考えるときに、
参考になる取り組みですね。
徒歩圏のコミュニティとカーシェアリング
「欧米の都市の中には、車への依存度を下げて
車の使い方を見直そうという運動として、
朝の通勤時に一人で車で来るのが
禁止されていたりするんですよ。」
推奨、ではなくて禁止とは徹底していますね!
それにしても「乗り合い」って、
会社の人どうしとか、近所の人どうしで
必然的にコミュニケーションを取ることになりますよね。
「同じ地域で集まっていたりするとコミュニティが
できますよね。」
カーシェアリングって
コミュニティでのコミュニケーションを
取り戻すとか、創りだす効果もありそうですよね。
「ウィンドカーをはじめるときに、実証実験をしたんですが、
白石区の本郷商店街さんにご理解をいただいて、
させていただいたんです。
商店街は、郊外の大型店に人が出て行っているので、
もう一度商店街に人を呼び戻そう、
ということですね。
生活者のコスト的な話にしても、
歩いていける範囲で買物をするほうが
車で遠くに少し安価なものを買いに行くよりも、
トータルで見ると安いかもしれない。
もちろん、環境的には負荷が限りなく低いですよね。
かといって、カーシェアリングが絶対いい、
ということではないんです。
人それぞれの生活スタイルがあるし、
車との付き合い方が違います。
でも、商店街に魅力的なお店があるから
郊外にいかなくてもそこで物事が足りるよ、という
コンパクトシティみたいなものを目指す。
そういうふうにシェアリングを導入していただいた
というのはあります。」
車とのつきあい方だけでなく
地域の中で生活する自分のライフスタイルを
見直すのにも、役立ちそう。
個性の数だけカーライフがある
上野さんが強調していたのは、
カーシェアリングというのは、
これをみんなが導入しなければならないとか
導入すれば万事ハッピーであるとか
そういうものではなく、
あくまで、車を「持つ・持たない」の二者択一
以外の車とのお付き合いの方法を
選択肢として提供してるんですよ、
ということでした。
ところで、
ウィンドカーの会員はインターネットで自由に
空き状況を調べて予約ができるということですが、
例えば、希望する利用時間が何人も重なって
予約ができない、ということはないのでしょうか。
「そんなにないです。
カーシェアリングのお客様というのは
車に乗ることが第一優先ではなく、車に乗らなくても
別の手段を考えられるようになるので。
それから、カーライフというのは本当に、
みなさんの個性そのままなんですよね。
毎日昼だけとか、夜だけとか、週末だけとか・・
いろんなパターンがあるから組み合わさって
シェアリングが成り立つんですよね。」
「こんな会員様がいらっしゃいました。
会議が始まる前に、
"今日はカーシェアリングの時間が
2時までになっているのでそれまでに終わらせましょう"
と宣言して、決められた時間を有効に使って
会議がはかどったというのです。
こんなふうに使っていただく方法は“あり”ですよね。
逆に、時間が何時まで長引くか分からない場合は
タクシーをご利用になったほうがいいかもしれませんしね。
昼間、地下鉄に乗ると、
ネクタイを締めている人をあまり見かけません。
それだけみなさん自家用車を使われているのかな・・。
カーシェアリングをご利用になれば、
その方々は、地下鉄とかバス、市電を使うように
なるかもしれないですよね。」
カーシェアリングという、
新しい、これからの時代を見据えた
車社会とのつきあい方。
もし自分が、生活に取り入れるとすれば
どうだろうと、ちょっと考える時間をもつことで、
自分の個性にぴったりなお金や道具の使い方、
ライフスタイルを
追求できるかもしれないですね。
□札幌都心で利用できるウィンドカーの車両ステーション
・タイムズステーション札幌駅前(北4条西6丁目)
・三井リパーク(北4条西4丁目)
・王子パーキング(北1条西1丁目)
※札幌市内には、そのほかにも、白石区本郷、西区琴似、
北区北12条西3丁目などに「車両ステーション」があります。
---------
ウィンドカー株式会社
http://windcar.jp/
札幌市西区八軒1条東4丁目1-79
TEL 011-611-0025(担当:上野)FAX 011-611-0086
mail/ info@windcar.jp
[関連サイト]
カーシェアリング
http://www.carsharenet.org/