札幌の冬とスキーと森脇さん。
都心から1時間以内にスキー場が複数ある絶好のロケーションにありながら、市民のスキー離れが言われて久しい札幌。ちょっと待って!最近スキーが再び”熱い”ですよ。雪やスキーとの付き合い方のアイディアをいっぱい持っている森脇俊文さんに、札幌の冬やスキーについてあれこれお聞きしました。編集部のスキー愛好家はぎも参加。(森脇さんのプロフィールはこちら

第1回 スキーウエア3つの“派閥”

-- わたしは、森脇さんがトレーナーをされている
「メディフィット」に行くまで、
あまりIKEUCHIに行く機会がなかったんですが、
IKEUCHIにはアウトドアのウェアであったり、
スポーツ関連のお店もいろいろありますよね。
「メディフィット」の行き帰りにそういうショップをのぞくと、
ウエアなどがすごく充実していて、
見ているだけで楽しいものだなと思ったんです。
冬の札幌の楽しみ方を考えるとき、
寒さに強くてファッショナブルなアウトドアウエアを見る
という楽しみもあるなと思うんですよ。
森脇 そうですね。
そうだ、いい話題、ありました。「山ガール」。
-- 「山ガール」、いいですね。
ファッショナブルなアウトドアウエアに身を固めて、山に行く女の子。
増えてるようですね。
森脇 もう、すごい増えかたをしてるんですよ。
いま十勝岳とかに行っても、ふつうにいますよ。


-- へえ、そうですか。
森脇 すごく「いいもの」を着ている割には、
何か足りないものがあるらしいんですよ。
-- おしゃれだけれど、
いわゆる「登山」という入りかたではないから。
森脇 その、見た感じから入るから
一見すごく万全に見えるんだけど、
基本的なところで、それは困るよね、
というものになっていたりとか。
インナーが全然足りなくてアウターだけ良いものだったりとか。
-- もちろん、きちんとした装備の人も多いのでしょうけど。
ファッションから入ると、それは仕方がないのかもしれませんね。
森脇 ただ、それにしても自然だとかアウトドアに
目を向ける女性が増えていて、
アウトドアウエアが
ファッショナブルになってきています。
いま、本当にファッションを意識した
アウトドアブランドというのが
少しずつ増えてきているんですよね。
ファッション誌に広告を載せるようになっています。
-- そういうファッションのジャンルができたという感じですね。
森脇 だから、「山」とか「冬」と言ったとき、
アウトドアウエアとしては
あえて若い人たち、女性というターゲットを含めた
「山」とか「冬」ということになっているので。
今年の冬は「おしゃれにアウトドアを楽しむ元年」
になるんじゃないのかな。

イラスト by 札幌てくてく(ツツミ)

-- 「山ガール」元年。
はぎ けっこうスキーウエアも変わってきましたよね。
森脇 変わってきましたね。
はぎ 昔はスキーウエアといえば、
一目でスキーウエアとわかるようなものだったんだけれど。
最近は、パタゴニアとかそういう
アウトドア系のウエアを着る人が多くなりましたね。
-- 街なかでも着られるような。
森脇 そうです。
スキーウエアらしいスキーウエアを着ている人も
もちろんいるんですけど、
山用品としての山用ジャケットを着て
スキーやスノーボードをするという人も増えてきていて。
寒いところで活動するためのウエアという点では同じだから、
軽くて動きやすくて暖かくて、機能的でいいんじゃないか
という考えが、広がってきている感はありますよね。
-- なるほど。
スキー場でも、機能的な登山ウエアを
スキーウエアとして着ているんですね。
森脇 それとはまた別に、
寒ささえとれればいいということで、
完全にファッションがカジュアルなウエアを着ている人も。
だから、山用品のものと、カジュアルなファッショナブルなものと
スキーウエアらしいスキーウエアと。
大きくはこの3つ、スキーウエアの派閥があります。
-- スキーウエア3派閥。
はぎ あります、あります。

下手だけれどイラスト「札幌てくてく」(ツツミ)

森脇 で、カジュアルな派閥の中に、
大半のスノーボーダーたちが入っていますね。
おしゃれな、普段着っぽい恰好をしている人たちで、
街でも全然着て行けちゃうような恰好をしている人たち。
で、そこからの派生で、おしゃれなんだけども、
その「おしゃれ度」よりも機能的な部分だったりとか
っていうところに、山ガールは、流れてきているんですね。
-- そっか、カジュアル派の分派から
山用品のほうに流れてるんですね、
山ガールは。
ところで、いわゆるスキーウエアのファッションって
年ごとに傾向がありますよね。
むかしはガンダムみたいなのが流行ったりしました。
どういうことが基準になっているんでしょうね。
森脇 スキーウエアには独自のファッションの流れがあって、
毎年少しずつ形状やデザインが変わっています。
例えば、イメージとしては、当時、ガンダムみたいなのがあって。
次にどう流れたかというと、
デカイ柄、みたいなのに流れたんですよ。
ブロックみたいなのですね。
そこから、ジャージみたいなのになり、
横に縦の太いラインが入ってるみたいなのになり。
そこから、シンプルカラーで、
下が黄緑で上がオレンジみたいな単色系になり、
いま、細かい柄物、みたいなのに流れているんです。
-- チェックだったりとか。
森脇 下はタータンチェックで上はシンプルに白だったり、
こういう柄が全身だったりとか。
そういうのはメーカーが流行を作り上げていっているのだと思います。
-- スキーのファッション業界ですね。
森脇 (スキーウエア市場で)
すごく根強くて目立ってて人口が多いのが、
スキーの技術を高める愛好家たちです。
-- スキーの技術を高める愛好家たち?
はぎ 一級を取るのを目標にしているとか、
指導員になりたいとか、大会に出るとか。
そういうグループですね。
森脇 減ってはいるんだけど、多いんですよ。
うまくなりたい!という人たち。
スキーがうまい人たちに、強い憧れを持つ人たち。
はぎ (チラシを見ながら)
この人たちは「神」なんですよ(笑)。
-- (札幌市教育委員会が11月13日に開催した)
「さっぽろっこ雪シンポジウム」出演者のみなさんですね。

森脇 そう。この人たちは「神」なんです(笑)。
ぼくはこの人たちに憧れて、
スキーの魅力にハマっていった世代です。
で、ぼくみたいな想いを持ってスキーをしている人たちが
今もたくさんいて、そういった人たちは
強い選手のウエアと同じものを買うことが多いんです。

-- へえ。
森脇 優勝した選手の好みのデザインがあって、
メーカーにそれを言うと、
「そのウエア寄り」のデザインがいっぱい販売されるんですよ、
売れるから。
はぎ ゴルフとかと一緒ですよね。
石川遼くんのヨネックスとか。そういう世界。
森脇 だから、この世界については、
「誰が着ているか」という
「人発信の流行」なんだと思います。
-- なるほど。

(つづく)
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話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)


今年11月13日、札幌市教育委員会主催で「さっぽろっこ『雪』シンポジウム」が開催されました。シンポジウムの前半は、森脇さんが憧れたという元全日本デモンストレーターの浜辺秀樹さん、榎並雪彦さん、我満嘉治さんが、当時の写真を写しながら「スキーから教えられたこと」について語りました。
後半のパネルディスカッションには、この3人に加えて現役の全日本ナショナルデモンストレーターである井山敬介さん、プロスキーヤーの児玉毅さん、そして森脇俊文さんが登場、平成24年度から札幌市のスキー学習の時間数が増えることを踏まえて、市教委でこのシンポジウムとともにスキーリサイクルの取組みが行われていること、その他、スキーの魅力が子どもたちに伝わるスキー学習のあり方などが提案されました。
コアなスキーヤー以外の間にも再びじわじわと盛り上がる気配を見せているスキーですが、その盛り上がりの大きな波は、学校のスキー学習から起こってくるのかもしれませんね。