-- | わたしは、森脇さんがトレーナーをされている 「メディフィット」に行くまで、 あまりIKEUCHIに行く機会がなかったんですが、 IKEUCHIにはアウトドアのウェアであったり、 スポーツ関連のお店もいろいろありますよね。 「メディフィット」の行き帰りにそういうショップをのぞくと、 ウエアなどがすごく充実していて、 見ているだけで楽しいものだなと思ったんです。 冬の札幌の楽しみ方を考えるとき、 寒さに強くてファッショナブルなアウトドアウエアを見る という楽しみもあるなと思うんですよ。 |
森脇 | そうですね。 そうだ、いい話題、ありました。「山ガール」。 |
-- | 「山ガール」、いいですね。 ファッショナブルなアウトドアウエアに身を固めて、山に行く女の子。 増えてるようですね。 |
森脇 | もう、すごい増えかたをしてるんですよ。 いま十勝岳とかに行っても、ふつうにいますよ。 |
-- | へえ、そうですか。 |
森脇 | すごく「いいもの」を着ている割には、 何か足りないものがあるらしいんですよ。 |
-- | おしゃれだけれど、 いわゆる「登山」という入りかたではないから。 |
森脇 | その、見た感じから入るから 一見すごく万全に見えるんだけど、 基本的なところで、それは困るよね、 というものになっていたりとか。 インナーが全然足りなくてアウターだけ良いものだったりとか。 |
-- | もちろん、きちんとした装備の人も多いのでしょうけど。 ファッションから入ると、それは仕方がないのかもしれませんね。 |
森脇 | ただ、それにしても自然だとかアウトドアに 目を向ける女性が増えていて、 アウトドアウエアが ファッショナブルになってきています。 いま、本当にファッションを意識した アウトドアブランドというのが 少しずつ増えてきているんですよね。 ファッション誌に広告を載せるようになっています。 |
-- | そういうファッションのジャンルができたという感じですね。 |
森脇 | だから、「山」とか「冬」と言ったとき、 アウトドアウエアとしては あえて若い人たち、女性というターゲットを含めた 「山」とか「冬」ということになっているので。 今年の冬は「おしゃれにアウトドアを楽しむ元年」 になるんじゃないのかな。 |
-- | 「山ガール」元年。 |
はぎ | けっこうスキーウエアも変わってきましたよね。 |
森脇 | 変わってきましたね。 |
はぎ | 昔はスキーウエアといえば、 一目でスキーウエアとわかるようなものだったんだけれど。 最近は、パタゴニアとかそういう アウトドア系のウエアを着る人が多くなりましたね。 |
-- | 街なかでも着られるような。 |
森脇 | そうです。 スキーウエアらしいスキーウエアを着ている人も もちろんいるんですけど、 山用品としての山用ジャケットを着て スキーやスノーボードをするという人も増えてきていて。 寒いところで活動するためのウエアという点では同じだから、 軽くて動きやすくて暖かくて、機能的でいいんじゃないか という考えが、広がってきている感はありますよね。 |
-- | なるほど。 スキー場でも、機能的な登山ウエアを スキーウエアとして着ているんですね。 |
森脇 | それとはまた別に、 寒ささえとれればいいということで、 完全にファッションがカジュアルなウエアを着ている人も。 だから、山用品のものと、カジュアルなファッショナブルなものと スキーウエアらしいスキーウエアと。 大きくはこの3つ、スキーウエアの派閥があります。 |
-- | スキーウエア3派閥。 |
はぎ | あります、あります。 |
森脇 | で、カジュアルな派閥の中に、 大半のスノーボーダーたちが入っていますね。 おしゃれな、普段着っぽい恰好をしている人たちで、 街でも全然着て行けちゃうような恰好をしている人たち。 で、そこからの派生で、おしゃれなんだけども、 その「おしゃれ度」よりも機能的な部分だったりとか っていうところに、山ガールは、流れてきているんですね。 |
-- | そっか、カジュアル派の分派から 山用品のほうに流れてるんですね、 山ガールは。 ところで、いわゆるスキーウエアのファッションって 年ごとに傾向がありますよね。 むかしはガンダムみたいなのが流行ったりしました。 どういうことが基準になっているんでしょうね。 |
森脇 | スキーウエアには独自のファッションの流れがあって、 毎年少しずつ形状やデザインが変わっています。 例えば、イメージとしては、当時、ガンダムみたいなのがあって。 次にどう流れたかというと、 デカイ柄、みたいなのに流れたんですよ。 ブロックみたいなのですね。 そこから、ジャージみたいなのになり、 横に縦の太いラインが入ってるみたいなのになり。 そこから、シンプルカラーで、 下が黄緑で上がオレンジみたいな単色系になり、 いま、細かい柄物、みたいなのに流れているんです。 |
-- | チェックだったりとか。 |
森脇 | 下はタータンチェックで上はシンプルに白だったり、 こういう柄が全身だったりとか。 そういうのはメーカーが流行を作り上げていっているのだと思います。 |
-- | スキーのファッション業界ですね。 |
森脇 | (スキーウエア市場で) すごく根強くて目立ってて人口が多いのが、 スキーの技術を高める愛好家たちです。 |
-- | スキーの技術を高める愛好家たち? |
はぎ | 一級を取るのを目標にしているとか、 指導員になりたいとか、大会に出るとか。 そういうグループですね。 |
森脇 | 減ってはいるんだけど、多いんですよ。 うまくなりたい!という人たち。 スキーがうまい人たちに、強い憧れを持つ人たち。 |
はぎ | (チラシを見ながら) この人たちは「神」なんですよ(笑)。 |
-- | (札幌市教育委員会が11月13日に開催した) 「さっぽろっこ雪シンポジウム」出演者のみなさんですね。 |
森脇 | そう。この人たちは「神」なんです(笑)。 ぼくはこの人たちに憧れて、 スキーの魅力にハマっていった世代です。 で、ぼくみたいな想いを持ってスキーをしている人たちが 今もたくさんいて、そういった人たちは 強い選手のウエアと同じものを買うことが多いんです。 |
-- | へえ。 |
森脇 | 優勝した選手の好みのデザインがあって、 メーカーにそれを言うと、 「そのウエア寄り」のデザインがいっぱい販売されるんですよ、 売れるから。 |
はぎ | ゴルフとかと一緒ですよね。 石川遼くんのヨネックスとか。そういう世界。 |
森脇 | だから、この世界については、 「誰が着ているか」という 「人発信の流行」なんだと思います。 |
-- | なるほど。 |
(つづく)
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話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)

後半のパネルディスカッションには、この3人に加えて現役の全日本ナショナルデモンストレーターである井山敬介さん、プロスキーヤーの児玉毅さん、そして森脇俊文さんが登場、平成24年度から札幌市のスキー学習の時間数が増えることを踏まえて、市教委でこのシンポジウムとともにスキーリサイクルの取組みが行われていること、その他、スキーの魅力が子どもたちに伝わるスキー学習のあり方などが提案されました。
コアなスキーヤー以外の間にも再びじわじわと盛り上がる気配を見せているスキーですが、その盛り上がりの大きな波は、学校のスキー学習から起こってくるのかもしれませんね。