森脇 | で、いまこれが一番王道なんだろうなと 思う方法でやっているのが。 |
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-- | はい。 | |
森脇 | 星野リゾートの社長の星野佳路さんが、 若者は一過性のブームで終わってしまう可能性があるから そこに絞るのはリスクがある。 でも親子は、継続的に続けるし、世代を超えても、 その子どもが親になったときにも子どもにもスキーを教えるだろう、 ということを言っています。 海外のデータによれば、 両親がスキーをしていた子どもの8割が継続的に スキーをするようになっているそうです。 | |
-- | へえ。 |
森脇 | 片方の親だったら、半分くらいしかスキーをしない。 |
-- | そして両親だったら8割! 家族の影響って大きいですね。 |
森脇 | そういった部分でも、親と子が一緒にスキー場に行って、 みんなが楽しめる仕組みさえつくれば、 継続的なスキーの良い循環ができるだろうと。 そのためには、「親子」に焦点を絞るべきだということに 徹底的に力を入れて、アルファリゾート・トマムでは リフトの距離を縮めたんです。 (詳しくはトマムのこちらのページ) |
-- | リフトを切った、と。 それってすごいことなんですよね? |
森脇 | すごい大英断で。 |
-- | 長いほうがいいわけですよね、 今までの考えだと。 |
森脇 | そう、上まであったほうが、上から滑れるから。 いままでは、タワーからすぐのリフトから上まで一気に上れて、 ビューッと下まで滑れたんだけど、 ここで終わりにして、カットしちゃったの(下図、第4ペアリフト)。 |
森脇 | どうなったかというと、 子どもが何回も滑れるようになったの。 |
-- | 上の図の黄色い部分、 「ファミリーゲレンデ」を使う人専用になったんですね。 |
森脇 | なだらかなところだけをずっと滑れるから子どもは楽しめる。 で、リフトが無くなった上のほうは、思い切って パウダリーゾーンとして、別のリフト(第5ペアリフト)で途中まで上がって そこからハイクアップしてパウダースノーを楽しめるようにした。 わざわざ有る施設を切って、 ここ(下の斜面)だけで回すようにするというのは、 よほど勇気がいることなんですけれども。 でも、絶対に正しいんですよ。 |
-- | 相当思い切ってファミリーに特化したわけですね。 |
森脇 | これは、親子に力を入れるのが いかに大事かということなんです。 スキー業界ではこのことを知っている人が多いので、 札幌でも親子に力を入れるイベントが増えるはずなんです。 |
-- | スキー業界の人たちは「親子だね」と。 |
森脇 | いまそういった部分で、 「なんちゃってクロス」というのが流行っているんですよ。 |
-- | 「なんちゃってクロス」。 |
森脇 | 札幌のスキー場でもこれから あちこちに出てくると思われます。 |
-- | クロス・・・。 |
森脇 | 同時にみんながスタートする競技スポーツを 「~クロス」といいますね。 モータークロスとか、スキークロスとか。 |
はぎ | スキークロスはオリンピック種目にもなってますね。 何人かで一斉に滑って速さを競う競技です。 |
-- | あ、コースがサーキットみたいになって みんなでぐるぐる滑っている、アレだ。 |
森脇 | そうです。同時スタートでだれが一番先に着くか。 スノーボードクロスとか。そういうのがあるんですよ。 |
-- | はい。 |
森脇 | そういうふうに同時スタートで交錯するから 「クロス」って言うと思うんですが、 子ども用の「なんちゃってクロス」っていうのがあるんです。 一人ずつ滑るので「なんちゃって」だと思うんですけどね。 で、そのコースっていうのは起伏に富んでいるんですよ。 ゲレンデをコースカットして、ネットでふさいで、 横に曲がるときには傾いて、縦に行く時はウェーブが3つあって、 ジャンプ台があって、というようなものですね。 それを上手に攻略していくことで 速く滑れるんです、速いライダーは。 それは子どもにとって「スキーの障害物競争」なんです。 超楽しいんですよ! |
サッポロテイネのなんちゃってクロス動画です。
-- | 楽しそうですねー! |
森脇 | でこぼこ滑るのが好きですからね、子どもって。 ジャンプしたり、ショートカットしたいし、 人の滑っていないところを滑りたいし。 それを安全に設計してあるんです。 |
-- | へえ。そういえば、 子どものときにおもちゃ屋さんで売ってたミニスキーをはいて、 近所の公園でわざわざジャンプ台をつくったりしたなあ。 |
森脇 | わざわざ平らにしないで、 安全に起伏を作っているのが 「なんちゃってクロス」というコース。 これは、夕張マウントレースイやサッポロテイネがやっています。 これもトマムの話と一緒で、いま日本中が注目しています。 ぼくも昨年滑ってきたんですけど、面白かったです。 |
-- | 大人もできるんですね。 |
森脇 | 大人も滑れるので。 そういうふうに起伏を使って遊ぶ原点回帰というのが、 大人にも生まれ始めていて。 |
-- | 遊びの原点回帰。 |
森脇 | そうですね。 純粋に上から下まで滑って行くときに 飛んだり跳ねたりするのはが楽しいのではないか、 それを安全にスキー場が設計しようぜ、 という流れが出てきていて。 まず、それに火をつけたのが スノーボーダーたちなんですよ。 |
(つづく)
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話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)
協力・ アルファリゾート・トマム、サッポロ・テイネ、マウントレースイ