札幌の冬とスキーと森脇さん。
都心から1時間以内にスキー場が複数ある絶好のロケーションにありながら、市民のスキー離れが言われて久しい札幌。ちょっと待って!最近スキーが再び”熱い”ですよ。雪やスキーとの付き合い方のアイディアをいっぱい持っている森脇俊文さんに、札幌の冬やスキーについてあれこれお聞きしました。編集部のスキー愛好家はぎも参加。(森脇さんのプロフィールはこちら

第5回 ヨコノリなタテノリへ。

森脇 ところで、スノーボーダーは、フリースタイルの人たちが多い。
サーフィンから流れてきている人たちも多くて。
そうすると地形とか起伏とかで遊ぶんですよ。


-- そうなんですか。
そのへんのことって全然わからないです。
森脇 スケボーをしてる人たちが
公園で変な地形を探して、飛び越えたり
板をすべらせたりしてるのを見たことはありませんか。
あれ、「横乗り文化」なんですよ。
自分のスタイルを探して、
公園の角やでっぱりを見つけて、
そういう形のものを使って、ジャンプしたりしていますよね。
-- います、いますね!
夏場は、夜の公園にスケートボーダーが出現してるのを
よく見かけます。
森脇 そうそう。
同じく、スノーボーダーたちは
5メートルのスペースがあったら、楽しめちゃうんですよ。
そこに起伏をつくれば。
-- そうなんですね。
森脇 (身振りで見せながら)
たとえば、「オーリー」(※)っていうんですけど、
板をパンッと跳ねあげて、ここにチャンと当てて滑ったら
たのしいんです。
「俺のスタイル」なんです、これは。
-- 「横乗り」に対しては「縦乗り」もあるということですね。
森脇 「横乗り」は、スリーエス「3S」っていうのかな。
スノーボード、スケートボード、サーフィンを
まとめて「スリーエス」といいますね。
進行方向が横向きなんです、
横向きに道具にのっかるんです。
それに比べて、スキーやモトクロスとかバイクは、
縦なんです。縦方向に進行するんです。
横乗りの人たちのほうが基本的に
自由度が高いというか、
遊びが上手なんです。
「縦乗り」の人たちは、「横乗り」の遊び方を
もっと見習うと、もっともっと楽しめるはずなんです。
-- なるほどー。

森脇 で、ホント、遊ばせたら、横乗りの人たちほど
クリエイティブなことはない。
ちょっとしたところでも自分なりの遊び方を
見つけるのが上手な人が比較的多い。
-- では、そのようなところにスキー場もいま注目していると。
森脇 力を入れ始めていて、理解が深まり始めています。
それによって何が生まれるかと言うと、
若者が集まりやすくなる。
単純に若者の遊びの道具としての
スキー、スノーボードが復活する。
ちょうど10代後半から20代の真ん中くらいの
穴があいている世代の若者たちが遊べる
「遊び方のスタイル」として、
スキーもそういった「地形をつかった遊び方」をしようぜ、ということです。
で、「当て込み」っていう言葉があるんですね。
-- アテコミ。
森脇 当て込みっていうのが地形遊びの中で
象徴的でわかりやすいんですが。
どういうことかというと、
斜面があって、斜面の途中にねじれた場所があったとします。
-- ・・・はい!
森脇 すると、ねじれた場所に向かって
スピードをつけてビューンと上がって行って、
ここに立ち木があるとします。
この立木に雪をバーンッ!とかけて、
降りていくんです。

-- おおお・・。
森脇 で、雪をバーンと掛けたときに
ここにきれいに雪が舞うとおしゃれなんです。
-- へえ。面白い・・・。
森脇 当て込みっていうんです。
雪をうまく当て込めると、木に雪がかかるんです。
スノースプレーが上がるんです。
スノースプレーが上がるためには、
スキー場のゲレンデは、端のほうが
まるく反り上がってないと当て込めないんですよ。
そのためには、そういう遊び方を想定しないスキー場は、
圧雪車がここを角にしてしまうんですよ。
-- そうか。木に対してこういう形を。
森脇 そりあがっていかないと。
四角くカットしてしまうと
平らなスキー場になってしまうから当て込めなくて、
そういうスタイルを求める若者たちは誰も行かくなるんですけど。
いま、そういうことに、理解のあるスキー場が増えてきている。
角がないだけでスノーボーダーたちは楽しめるんです。
遊び方がすごく多岐にわたってきているからこそ、
色んな人が安全に楽しめる形状を作ろうぜっていう地形遊びなんです。
というのが、いま、全国的に日本ですごく注目されています。

(つづく)
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話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)


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