-- | 「当て込み」だとか、スノーボードなどの横乗り文化には、 「雪を遊ぶ」という発想が面白いですね。 |
森脇 | スノーボーダーはそういう遊び方であれば どこでもできるし、自分なりのスタイルを出せるから楽しめる。 山を登らなくても5メートルの半径があれば、 そこで遊べちゃうんです。 だから、スケボーぽくなってきてますね。 |
-- | なるほど。 スノーボーダーたちのそうした雪を遊ぶ横乗りな遊び方が、 スキーでもいろいろできそうですね。 そして、スキー場の側も、 そういう遊び方のニーズに応えられることが 必要になっているというわけですね。 |
はぎ | 最近子どもや若者にスキー場が目を向け始めたりしたことは、 相当な危機感があってのことなんだと思います。 スキー学習が減ってきているから、 スキーにふれずに育ってしまう子どもが 出てきてしまうんじゃないかとか。 |
-- | スキー学習って、減っているんですか。 |
はぎ | スキー学習は昔よりも時間が減っています。 ただ、平成24年度からは授業時間が増えるようです(※)。 とはいえ、いまはまだ少ないですね。 完全に子どもの遊びが、雪遊びからゲームになってしまいました。 外に出なくなってしまった。 |
森脇 |
ゲームだったり、英会話だったり、フラメンコだったり パソコンだったり携帯だったり、 他のアクティビティやサービスが、この20年間で 飛躍的に技術が向上したり、 楽しさを飛躍的に引き上げたりしてるんだけれど、 スキー場はこの20年間でそれと同じスピードでは進んでこなかった。 良くなってはいたんだけど、 全然追いつかないレベルで他が伸びてしまったんですね。 スキー関係の企業がもっと面白いことをすれば、 そして私たちがもっと面白いことを提案できれば、 スキー場に人は来る。 でも20年前から同じ形をしていたら誰も振り向かないよ、 ということだと思うんです。 |
-- | そうですよね。 | |
森脇 | で、新しく、いま面白いとされているのが、 バックカントリー。 |
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-- | ここで登場ですね!バックカントリースキー。 「山ガール」がはまりそうなスキー、 ということでしたね。 | |
森脇 | いますごいブームなんです。 太いスキーが山ほど出てるんですよ、昔と比べて。 |
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-- | バックカントリーというのは、 スキー板の種類がまた違うんですね。 | |
森脇 | 浮力のある、「かんじき」みたいなスキーがあるんです。 太いので、浮力感がすごいんです。 ちょっと極端に描くと、こんな感じです。 |
-- | いまのスキー、昔のスキー、そして 右がバックカントリーです。 そうか。 スキーひとつとっても、楽しみ方が多様になっているのですね。 | |
森脇 | たとえばバックカントリーの場合は、 今までにない大自然の空中に浮いているような浮遊感。 ひとつは、子どもたちのなんちゃってクロス。 ひとつは、スノーボーダーたちの地形を遊ぶ感じ。 そして、遊び方の提案が最近の危機感により、 もしくは、若者たちが新しいものを探しだす嗅覚により、 どんどん広まってきているんですね。 スキー場もそれにより未圧雪コースというのを提供し始めたり。 最近圧雪しなくなりましたからね、コースの一部を。 |
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はぎ | 手入れしないけど、 自分の責任で楽しんでください、という。 いわゆるパウダースノーを楽しめるコースです。 |
森脇 | 未圧雪とか、非圧雪バーンという場所を、 スキー場は、世の中の温度に合わせて意図的につくる。 ここは非圧雪コースで、こっちはなんちゃってクロスのコースで、 こっちはジャンプできるコースでと。 こちら側から提案したものを、やっと作れるようになってきた。 遅すぎたんですけど、復活のきざしはあると思います。 |
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はぎ | 斜陽傾向が続いたスキー業界が、 いまようやく復活に向けてかじを切り始めたと言うか、 上向き始めた。 今年あたりが転換点じゃないかなと思います。 業界が独自に動きはじめたし、 行政も札幌の場合はスキー学習に力を入れ始めたというのもあるし。 札幌市教育委員会で「さっぽろっこ雪シンポジウム」(※)のようなことを したというのは、すごいことだと思います。 けっこう勝負どきですよね、この2、3年が。 |
(つづく)
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話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)
スキー学習時間数
札幌市教育委員会が、「札幌市学校教育の重点」というものに「雪」という項目を入れ、スキー学習を重視する取組をはじめています。平成22年度は、全市規模でのスキーリサイクルを開始、また、平成24年度からは小中学校でのスキー学習の時間数が増えることになっています。
[LINK] 札幌市教育委員会 | 札幌らしい特色ある学校教育の推進について
さっぽろっこ雪シンポジウム
札幌市教育委員会が主催、2010年11月13日(土)、スキーをテーマに開催された。元デモンストレーター3名による鼎談、現役スキーヤー等も交えてのパネルディスカッションにより、スキーの魅力、スキー学習の新しい取り組みなどが話されました。ほかに、会場ではスキーリサイクルの受け渡しも行われました。