札幌の冬とスキーと森脇さん。
都心から1時間以内にスキー場が複数ある絶好のロケーションにありながら、市民のスキー離れが言われて久しい札幌。ちょっと待って!最近スキーが再び”熱い”ですよ。雪やスキーとの付き合い方のアイディアをいっぱい持っている森脇俊文さんに、札幌の冬やスキーについてあれこれお聞きしました。編集部のスキー愛好家はぎも参加。(森脇さんのプロフィールはこちら

第7回 「空から降ってくる遊び道具」

森脇 ところで、2006年の資料によると(※)
この20年間で北海道のスキー場が
30以上なくなっているんです。

-- ええ!そんなにですか。
・・・ああ、でもそのくらいなくなってるんだろうなあ。
森脇 その頃からまた、真駒内がなくなって、
上砂川がなくなって、コバワールドがなくなってるから、
たぶん35くらいなくなってますよ。


-- 30ってすごいですね。
森脇 過小評価されすぎてるんですね、
冬とか雪っていうのが。
-- スキー場はそんなふうに激減してるんですけれど、
スキーに限らず、私たちって、せっかく札幌にいるんだから、
もっと冬とか雪っていうものを楽しんじゃって
いいと思うんですよね。
そういえば、雪まつり、地元の人は行かないですね。
最近は経済的な事情もあってか、大雪像が減ったり、
いろんなコーナーが変わってきていますが。
森脇 雪まつりをね、本当にブレインストーミングして、
「雪像まつり」じゃなくて「雪まつり」にしたらいいんですよ。
-- うんうん。
森脇 雪まつりと言えばどんなことを「まつり」にできる?
ということを考えたら、
面白いまつりがもっといっぱいできると思うんですけれど、
「雪像まつり」に引っ張られている気がします。
雪像がだめというのではなく、「アイコン」として
存在していいと思うんですけどね。
1丁目とか2丁目とかで
ジャンプのイベントをやっているじゃないですか
トヨタビッグエアーのジャンプのイベントですね。

-- 1丁目ではスケートリンクも最近やってますね。
森脇 8丁目あたりでは歩くスキーのコースも出始めていて。
だんだん「雪まつり」っぽくなってきてる。
でも、もっとあるはずなんです。
ウィンタースポーツを雪まつりにするというだけじゃなくて。
なんか、もっとあるんですよ、きっと。
雪を楽しめるものっていうのは。

-- 全然関係ないですけど、わたし
前に雪がすごく積もっている時期に、
中島公園を歩いていて、たまたま疲れたので、
園路が除雪された雪の角のところに座ったんですけど。

-- 雪が、自分のお尻の跡のついた椅子になったのが、
久しぶりに、なんだかたのしかったんです。
このとき思ったのが、これは雪だからそれはできることで、
夏だとできない遊び方がいっぱいあると思うんですよね。
大人が転がって遊んでも楽しいし。
大人が童心に帰れるツールでもあるんじゃないかなあと
思うんです。
森脇 昨日も取材の話でそういう話が出てきていて。
台湾の人がスキー場にきたときのあのはしゃぎようってないよねって。
雪を初めて見たら人間ってこうなるんだ、というぐらい、
走ってるだけで楽しそうな顔をしているし、
ふわふわのところには飛び込むし。
そう言えばおれもああやって遊んでたよな
っていうよなことをしていて。
もう、ホントに、雪とともにいるだけであんなに楽しいんだ、
そうだよなっていうことを思い起こされるというか。
本州の人たちが転勤で北海道に来ても
似た症状が生まれるんです(笑)。
-- 似た症状が(笑)。
森脇 学ぶべきところってそこだと思うんですよね。
身近にあるからこそマイナスのイメージが
強く出がちなんだけれど、
もっと捉え方とか発想を変えれば、
全然ちがって見えてくると思うんです。
「邪魔ものが上から降ってくる」のではなくて
「無料の遊び道具が空からたくさん降ってくる」、
そんな街なんだっていうところ。

-- わあ、それ、すごい言葉ですね。
森脇 これ、昨日の取材で聞いた言葉そのまんまなんですけど。
これを聞いた時に、すごいことを言う人だなと思って。
ぼくが空を見てニヤニヤする時っていうのは
そうやって思っていたんだ、と思って。
-- これで遊べる!って。
森脇 やばいぞ、明日、みたいな。
これを言った方は、もともとスキーをばりばりやっていたんですよ。
映画「私をスキーに連れてって」(※)世代で。
子どもにもスキーをやらせてるし、
スキー場まで1分のところに住んでいるほど。
子どもを朝イチにスキー場に置いてきて、
自分は1本滑ってから仕事に出かけて、
終わって5時か6時に電話したら「まだ滑る」って。
8時間滑ってるのにまだ滑るって子どもが言う、って(笑)。
でも子どもの頃って、そういう感覚あったよな、っていう話をしていて。

そういうふうに雪に親しんだ時代の人、
そんなふうに雪に対して対して思っている人たちがいます。
そして、その人たちが楽しめるものを、
もっといろんな提案だったり、提供ができたら、
必ずもっとスキー場にも人が帰ってくるはずなんですよ、
もっといっぱいあるはずなんですよ。

(つづく)
.
話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)


[PDF ]国土交通省北海道運輸局企画観光部平成19年度
「地域のスキー場の活性化に関する検討委員会」第1回資料
より。


ホイチョイ・プロダクションズ製作、1987年の映画。主演、原田知世。
「私をスキーに連れてって」(ウィキペディア)