森脇 | 「雪育」という言葉を、ぼくは よく使うようになっているんです。 雪とともに暮らす生活の方法、知恵ですね。 雪育がすすめば、雪まつりの中でも いろんな雪にまつわる遊びかたができると思うんですよ。 体を使って、ボンッと雪の上で体の型をとるっていうのもそうだし、 角に座ってお尻ちょんとのっけて 自分専用のいすのような形になるのも雪育として考えられるし。 いいことばかり言うと、必ず突っついてくる人がいるんですけど、 雪育っていうのはプラスとマイナスどちらも 受け入れた中でのものだと思うんですよ。 雪かきの方法も雪育だと思うし、 雪のわだちにはまったときの対処の方法とか。 車で言うとスリップしそうなときに スリップさせないための方法や、 雪の坂道をFRでのぼるための テクニックも雪育だと思うんですよ。 | |
-- | ええ、ええ。 |
森脇 | なんでもいいんですけど、 雪にまつわる知恵を集めたものを雪育としてとらえれば、 「雪育を知らないから困ったことになるんだろう、 おれは全然困らないから」となるんですよ。 |
-- | 雪にまつわる知恵を持っているかどうかで 札幌での快適に暮らすための「常識」がちがってくる というわけですね。 |
森脇 |
雪を利用したり楽しむ知恵を知らないと、 あたかも、雪というものが消えてくれるものだったり 東京と同じ暮らしが2月の札幌でもできるかのように、 我々は錯覚しはじめているんですよ。 |
-- | 地元に無いものを生活周りの基準にしてしまうと、 どうしても現状に対してネガティブな見方に なってしまいますからね。 |
森脇 | 逆に札幌だからこんな知恵もあるんだよ、 こんなの常識だよっていうふうになるといいですよね。 「基本情報として札幌の人がみんなこれを知ってる」 ということになると、すごく素敵なことで。 例えば札幌の人は、つるつるの冬道を歩けるんですよね、 それは、我々は毎年歩いているから。 でも東京の人は歩けない。 「我々ができるもの」というのが、すでにあるのだから、 あとはそういうことをもう少し伝えていったり、 お互いが情報として共有して持ちえていると おもしろいのかなと思うんですよね。 雪育コンテンツになりうるものって幅広くあるから。 雪かきから、雪合戦から、かまくらから、スキーの技術から、 遊び方から、貯蔵方法から・・・何もかも。 車の運転方法一つとっても、面白いと思うんですよね。 札幌には「雪プロジェクト」という専門家集団もいることですしね。 |
-- | なるほど。 雪が身近な札幌の人こそ、もっと雪について詳しくて、 いろんな知恵を持っていて、 そして発信もできると素敵だなと、わたしも思います。 それから、今日は、スキーを楽しむ選択肢が、以前と比べると 格段に広がっていることがわかって、 わたしもこの冬はスキー場に通いたくなりました。 今日はどうもありがとうございました。 |
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話・森脇俊文
撮影協力・kenon(ケノン)(札幌市北区新琴似5条12丁目5-17)