日常にあるものを魅力的にみせるパフォーマンス


−スケルツォのパフォーマンスで「言葉」も大事な要素ですね。

「コピーライターのようなものですね。僕らのパフォーマンスで使う映像というのはコマーシャルのようなノリで、長くても3分程度、短い場合、一言で映像が変わってしまうんです。
次々に30から40くらいの映像を流すんですけど、どれもが日常にある映像で。
皮膚科の看板ですとか、蛍光灯のヒモをパンチする人のようすであるとか。お友達の家に行くと、そこに置いておいてと言われて置かれる、荷物の集まりであるとか。ワイドショーでよく見かけるインターフォンとマイクの組み合わせだとか。スーパーの業務連絡のようすだとか。そういうのを大写しで写して。 」

スケルツォ スケルツォ スケルツォ
スケルツォ作品より


−わざわざ注目したりしないようなものですよね。

「絶対にふだんから見かけているようなものなんだけど、わざわざそれを映像にとるという人はいないですよね。
コマーシャル映像だと商品を売るためなのでその商品を魅力的に見せるためのもの。僕は、だれにも頼まれもせず自腹を切って、日常的にあるものを魅力的にみせるコマーシャルパフォーマンスをやっているんだと思いますね。

笑いといっても、ただ笑ってください!というのを見せるのではなくて、少し哲学したら面白いものがありますよと、ちょっと考えさせるものも作ってみたいし。それが結局、自分たちの周りから世界につながっているみたいなね。 よく、戦争になったときに国際情勢を語る人が出てきますが、結局そこまで想像がおよばないから、みんな身の回りを大切にしようというところに落ち着くと思うんですよ。そこだと思うんですよ。たぶん、世界的な情勢とか動きというものも、日常のものの中に縮図としてみることができる。日常のもので、ひょっとしたら世界で起こっているものを語ることができるんじゃないかと思っているんですよね。 」


−縮図として伝えたいメッセージがあるのですか。

「そうですね。とんちというのは後で利かせるんですけどね。ひらめき先行で。例えば野球場のマウンド。あの山は登山してみるとどうなるんだろうとか(笑)。実際にマウンドを“登山”してもらって壮大な音楽に実況中継のナレーションを入れるんです(笑)。とてもばかばかしいんですけど、でもそこから、日常の中にある越えなければならない山に思いが行く、というように、見ている人が自分が重ね合わせられるものに行き着いていくんですね。
どうやったらそういう作品になるのかというのは、たぶん身体で覚えたことだと思うんですけどね。日常のどのものをいじっても、どこか世界の縮図につながるんじゃないかと思っていますから。たとえどんなおバカな映像を撮ったとしても、これは何かに喩えられる!と思ってしまうんです。だから、ちょっと哲学するのが、ものすごく面白い。 」



“めあてで遊べる人”が増えたらいいですね
−最後に、加賀城さんにとっての札幌についてお聞きしたいんですが。

「札幌にい続けることがあまり僕にとって刺激ではないんです。面白いキーワードをこないだ拾ったんですが・・小樽の温泉に行ったら、効能書きがありますよね。そこに“転地効果”という言葉が並んでいました。あちこち移動することによってよい効果がある、ということなんですけど。僕は、他の土地に行ってみたり、住んだりするほうが、札幌のこともよく見えると思うんです。

小学校時代に“めあて”ってありましたよね。朝に日直が決めて、一日の終わりに守れたかどうか発表する。“めあて”にする内容というのは、ごく当たり前の日常生活のルールですよね。サッカーで言えば、ボールに手でさわってはいけない“ハンド”というルール、これも学校でたとえると“めあて”のようなものだと思うんです。サッカー選手が、手をつかって試合をしてしまったら、面白くないですよね。でも手を使わないサッカーだからこそ、みんながあっと驚くような華麗な技というのも生まれてくるわけです。そういうふうに、僕は“めあてを遊んだら面白いんじゃないか”と思うんです。ところが、札幌は、なかなか“めあてを遊べる”ところではないんじゃないかと感じているんです。

スケルツォ加賀城匡貴さん
この前の札幌市長選のときに、僕は、若い人にうったえる“投票へ行こう”ポスターを非公式につくった。これは“めあてで遊ぶ”チャンスだと思ったんですよね。誰に頼まれてもいないんですけど(笑)、まあ誰にも迷惑をかけないし、作ってもいいのではないかと。カフェや雑貨店に貼ってもらえるデザインのものを作ってみたんです。
そうしたら、マスコミ各社も反応してくれて、あの日高五郎さんからも電話がかかってきて。大人が反応してくれたんですね。なんだろう?と思ったら、これは“よくぞめあてで遊んでくれた”という大人の反応だったと思うんですよ。これが記事になったりして取り上げられたということは、めあてで遊んでいる人が少なかったからでしょう。
さっき話した、毛布にくるまったおじいちゃんとか、子供用のリュックを背負っている人を見る機会が少ないのが、札幌だと思うんです。少し“変わったこと”をする人がいる風景というのが当たり前ではない、ということだと思うんですよね。まずは、そのハードルを越えてからですね。」



−今回のステージでは札幌で活躍している人たちとコラボレーションしていますね。札幌はそういうネットワークを作りやすいですか。

「僕はネットワークをはりめぐらせていますから・・。札幌には、センスのいい人たちが大勢います。ネットワークのつなげかたによっては全国的にも面白いイベントができたりするはずですが、そういうところをまだまだ、札幌という街は活用していないと思います。」


−札幌の人には、そういう意味でもスケルツォのパフォーマンスを見てほしいですね。

「そうですね。札幌のみなさんに、見てほしいです。
“めあてを遊べる人”が、札幌にもっと増えたらいいですね!」



[インタビュ−/写真]堤綾佳(ノーザンクロス)

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