
デザインコンセプト
昭和の事務所ビルをシェア型ワークスペースに
「出来事」と「関係性」をデザインする (文:p.b.v)
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共有エリア
布バンドと紙パイプを使ってフロア全体の動線を暗示した。 -
専用エリア※左
開放された壁上部と光を透過する障子により、長屋と路地の様に気配を共有するつくりになっている。 -
共用エリアのワークテーブル※右
既存の柱をアイランドとして利用しゾーニングを緩やかにつくった。
共用エリアは不特定多数の個人が主に一人で仕事をする空間である。ワークスペースとそれに付随する様々な機能(ロッカー、コピー、ミーティング、ラウンジ、ドリンクコーナーなど)からなる。これらを機能毎に仕切るのではなく、全体をひとつの連続した空間にした。そこで起こる「出来事」、そこから生まれる「関係性」を大切にする人が集まるのがシェア型ワークスペースの特徴であり、それに応える雰囲気づくりを意図した。
しかし無造作に連続させると居心地は悪くなる。視線を交差させない工夫や距離感の演出が必要である。布バンドや紙パイプでフロア全体の動線を暗示し、既存柱をアイランドにして緩やかにゾーニングを感じる構成にした。
一方、専用エリアは1〜3人用に仕切られたブースになっている。入居状況によりブース面積が変わるため、長屋状に連続する壁と障子により全体の輪郭をつくり、その内部の仕切りを動かすことによって可変性のある構成にした。仕切り壁の上部は開放されており、かつ出入り口の障子は光を透過するので長屋のように隣人の気配を感じながら仕事をすることになる。
またコピーやミーティングスペースはブースの外でシェアするので、入居者は長屋状のブースと路地空間を頻繁に往来する。ここでも出来事と関係性が生まれる空間構成を意図した。
紙と布と板
- 加工前の紙管
出来事と関係性をデザインするために軽量かつ可動な素材を使った。紙管は古紙をリサイクルしロール状に圧着させた管である。トイレットペーパーの芯から組立て家具、建設用コンクリート型枠まで幅広く使われる。
今回は60cmと1.3m直径の半割り管を空間を創り出す家具として利用した。また10cm直径のパイプを動線分離のためのガイドポールとして使った。ガイドポールには利用者の視線の交差を遮る布製の伸縮バンドを巻きつけた。
尚、この紙管は道内企業で再生・生産しているものを使っている。
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カウンターテーブル
受付カウンターを支える60cm径の半割り紙管。
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オープンブースと携帯電話ボックス
1.3m径の半割り管を間仕切り用シェルター家具として利用した。
オフィスデザイン /p.b.v http://www.cafe-mewe.info/~p.b.v
施工/アスリック